ハイパーインフレになると失業率は下がる
財政破綻して国債の金利が急上昇する場合は失業率が上がります。一方、ハイパーインフレになる場合は失業率が下がります。
インフレと失業率は反比例
下のグラフは日本の失業率と物価上昇率の関係を示したものですが、インフレ(物価上昇)が進むと、それに反比例して失業率は下がります。
(出典:RIETI「デフレと金融政策物価の反応の鈍さ 注視を」)
また、イチからまなべる株の学校「ブラジルのハイパーインフレ。インデクセーション制度の罠」では、ブラジルのハイパーインフレ時の物価上昇と失業率の関係が紹介されています。
86年 | 87年 | 88年 | 89年 | |
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実質経済成長率 | 7.54% | 3.60% | 0.26% | 3.20% |
物価上昇率 | 79.67% | 363.41% | 980.21% | 1,972.91% |
貿易収支 | 83 | 112 | 191 | 161 |
利子払い | 100 | - | - | - |
外貨準備 | 67 | 44 | 54 | - |
財政赤字 | - | - | 4.3% | 6.9% |
債務残高 | - | - | 1,201 | 1,113 |
失業率 | 3.60% | 3.70% | 3.85% | 3.35% |
(出典:イチからまなべる株の学校「ブラジルのハイパーインフレ。インデクセーション制度の罠」)
上の表の通り、ブラジルでハイパーインフレが起こりましたが、物価が上昇してもあまり失業率には変化がなく、むしろ年率約2,000パーセントの物価上昇率が起きた年は失業率が以前よりも下がっていることがわかります。
雇い主は低賃金で労働者を雇える
国内が大不況の中、失業率が下がる理由は、雇い主が低賃金で労働者を雇えるからです。例えば時給1,000円で労働者を雇った場合、物価が10倍になれば実質賃金は時給100円、つまり人件費は1/10になります。
ハイパーインフレ時は賃金の上昇よりも物価の上昇の方が速く、いったん賃金を決めてしまえば、その後数ヶ月間はどれだけインフレが加速しても労働者を合法的に低賃金で雇えます。
つまり、インフレになると労働者を低賃金で雇えるため失業率は下がるのです。
給料は月支払から週払いへ
財政破綻が起きた様々な国の調査をしている大前研一氏によると、ブラジルの労働者は、月払いではインフレに対応できないため週払いで給料をもらっています。
また、労働者は給料をもらった瞬間にドルに替えて資産防衛をしていました。
日本もいずれハイパーインフレになる
慶應義塾大学経済学部教授の小林 慶一郎氏は下の動画で解説していますが、日本がいずれハイパーインフレになると予想しています。
このサイトでも人口が減少すると国家は破綻するなどで日本の財政破綻やハイパーインフレについて特集していますが、日本国債の崩壊を防ぐことが難しく、いずれ日本もハイパーインフレになる時が来るようです。