ネトウヨが国家に頼る理由を精神科医が分析

ネトウヨ(ネット右翼)が日本という国家に頼る理由を、精神科医が自己顕示欲や承認欲求という観点から分析しています。

対象は大きく持続性があるものほどよい

精神科医・片田珠美氏の著書「孤独病」には、ネトウヨが国家に頼る理由について以下のように書かれています。

 だがクスリにしてもネットの自撮りにしても、満たされない自己愛が埋まるのは、ほんの一瞬だけである。束の間ではなくできるだけ長く続くものはないのか。宗教やカリスマ性を持った経営者のいる会社が、そんな欲求の受け皿になることも少なくない。
 なかには国家を受け皿にする人もいる。いわゆるネット右翼と呼ばれる人たちがそうだ。自己愛が投影できる対象は大きくて持続性があるものほど、必然的に裾野が広くなるからだ。国のように大きなものは永遠に続くかのような錯覚を人に与えるので、なおさら魅力的に感じるのだろう。

(片田珠美・著「孤独病」より)

片田氏によれば、ネトウヨは自己顕示欲や承認欲求を求め、自分の気持ちの受け皿となる対象物を探した結果、国家という巨大な対象物に魅力を感じてしまうのです。

自己愛が大きなものへ向かうのは危険

一方、先ほど紹介した著書「孤独病」の中には、ネトウヨの心理状態を危険視する記述もあります。

 だが、土台が不安定な自己愛が大きなものへ向かうのは危険だ。このことは、第二次世界大戦の際に天皇を現人神として崇めた日本人や、ヒトラーに心酔したドイツ国民などを振り返ればよくわかるだろう。

(片田珠美・著「孤独病」より)

国民の代弁者として政治家が存在しますが、ネトウヨにとっての代弁者は安倍晋三や自民党、その他の右翼政党、そしてそれらを支持する評論家や専門家です。

しかし、例えばネトウヨの代弁者である自民党が潰れれば、彼らにとって自己愛を投影できる対象がなくなります。

そのため、ネトウヨが毎日必死になってネットに排外的なことを書き込んだり、野党の活動を妨害したりするのも、自己愛を満たす対象物を守るという点で見れば合理的な行動です。