電動スクーターVS電動自転車

スズキやホンダ、ヤマハから電動スクーターが販売されています。一方、電動自転車も好調に売れています。両者を比較して、その現状と展望を解説します。

電動スクーターと電動自転車を徹底比較

両者を比べた結果を表にしました。(電動スクーターはスズキ「e-Let's 」を、電動自転車はパナソニック「ビジネスビビ」など大手メーカーの製品を参考にしました)

=メリット

【電動スクーターと電動自転車を比較】
電動スクーター 電動自転車
定格出力 600W以下 250W以下
大きさ 普通 小型~普通
乗車定員 1人 1人
最大積載量 30kg 30kg
車庫証明
車検
不要 不要
法律規制 厳しい ゆるい
免許 必要 不要
原動力 電気 電気+人力
法定速度 時速30km 事実上規制なし
最高速度 時速60km 時速24km~
坂道の走行 不可能~可能 可能
1充電走行距離 30km 30km以上
1充電時間 4時間 4時間
1キロあたりの走行コスト 約0.4円 約0.3円
繰り返し充電回数 300~400回 700~900回
保険代 年間5万円 年間5千円
価格 約30万円 約15万円

(電動スクーターの性能にできるだけ合わせるため、業務用電動自転車のパワーモード走行を参考にしました。)

電動自転車と電動スクーターの違いを項目ごとに紹介します。

坂道:電動スクーターはふらつく車種もある

近年の電動スクーターは、走行距離を伸ばすためにわざと出力低下をしており、登坂能力は低いです。

下の動画は電動自転車と各電動スクーターの登坂能力を測定したものです。

電動バイクの場合、12度の勾配でふらつくものあるので危険です。購入するときには登坂能力が十分なものが欲しいところです。

一方、電動自転車は電気+人力の出力であり、いざとなっら立ち漕ぎできるため、電動スクーターより登坂能力はあります。

下の動画はヤマハの電動自転車の走行性能を紹介したものです。

宣伝用の動画のため怪しいところはありますが、私が実際に見た高齢者は、電動自転車で急な坂道をスイスイ登っていました。よって、電動自転車の登坂能力は高いです。

速度:公道では互角の戦い

電動スクーターは時速60km出せるものありますが、道路交通法で法定速度が決まっているため、最高でも時速30kmです。

一方、電動自転車は時速24kmまで動力の補助が付きますが、それ以上の速度になると補助がなくなり、ただの重たい自転車になります。

近年は、高齢者が電動自転車で高速に走るため、事故が増えています。時速24km以上に上げる規制緩和は起こらないでしょう。

走行距離:電動自転車が長い

電動スクーターの走行距離は30km程度です。冬に使用すると、カタログ値の半分程度の場合もあります。つまりカタログ値で走行距離が60kmの場合、実際には30kmです。

電池に鉛を使用している電動スクーターは走行距離が一見よく見えますが、性能が悪くて電池の劣化が激しく、実際の走行距離はカタログ値とは大きく見劣りします。

一方、電動自転車の走行距離は電動スクーターを超えており、たとえ電池切れでも人力で走行できるため安心です。

繰り返し充電回数:電動自転車が多い

充電池は容量が小さいほど繰り返し充電回数が増えます。そのため、電動スクーターが300~400回に対して電動自転車は700~900回繰り返し充電回数が可能です。

1日1回充電をすると、電動スクーターの場合は1年で寿命を迎えます。そのため、毎年充電池を購入する必要があります。

保険代:電動スクーターは10倍高い

電動スクーターと電動自転車の補償内容は同じではありませんが、両者をしっかりと補償した場合の年間保険料は電動スクーターが5万円、電動自転車が5千円。約10倍の開きがあります。

価格:電動自転車が安い

中小メーカーが販売している電動スクーターは価格が安いですが、中国から輸入した電動スクーターを日本で組み立てて販売しています。大手メーカーに比べて安いですが、安全性には疑問です。

一方、電動自転車は日本の大手メーカーが市場を独占しています。価格は電動スクーターより格段に安く、今後数年間変わらないでしょう。

法律規制:電動自転車はゆるい

道路交通法では、自転車は原則車道走行ですが、警察官でも違反して歩道を走行しており、事実上罰則がありません。また、自転車は2人乗りや信号無視しても注意程度で罰則はありません。(ただし、道路交通法違反状態で事故を起こすと多額の損害賠償が必要です。ご注意を!)

しかしスクーターなら、2人乗りや信号無視は即座に罰金刑です。

電動スクーターと電動自転車、どちらが優れているか?・・・電動自転車の勝ち

電動自転車は消費者の走行距離のニーズを満たし、電動スクーターに比べて価格や維持費も低く、電動自転車が優れています。