「日本の借金1000兆円はやっぱりウソでした」の間違い

経済倶楽部「『日本借金1000兆円の嘘』は本当か?」で、元ヘッジファンドマネージャーの横森一輝氏が、高橋洋一氏のコラム「日本の借金1000兆円はやっぱりウソでした」の間違いを暴露しています。

中央銀行の独立性を無視

まず、高橋氏は国家と中央銀行を同一で考えており、中央銀行の独立性を無視しています。

(本来、中央銀行の独立性は必要であり、独立性が必要でないと言うのであれば、中国や北朝鮮と同じです。)

借金が債務でないなら、踏み倒しと同じ

そして高橋氏は「政府の発行する国債の保有者が、子会社の日銀だから相殺できるので、それは債務ではない」と言っていますが、横森氏は「親が子から借りても債務は債務だ」と指摘しています。

つまり、日本の借金1000兆円は債務であり、高橋氏の理論は「踏み倒し」と同じことなのです。

独立行政法人への貸付金は、金融資産ではない

さらに、高橋氏は「独立行政法人への貸付金は流動性の高い金融資産」と言っていますが、横森氏は「独立行政法人は営利を目的とする団体ではないので、政府しかお金は貸さない」と指摘しています。

つまり、独立行政法人への貸付金は不良債権化している可能性が高いため、金融資産ではないのです。

純債務とは債務超過のこと

高橋氏は「債務超過」を「純債務」と置き換えていますが、会計上、「純債務」という言葉はなく、日本の借金は債務超過の状態です。

(ついでに、高橋氏は日本が他の先進国より純債務が少ないと言っていますが、世界経済のネタ帳「世界の政府純債務残高(対GDP比)ランキング」によると、2014年時点で、政府純債務残高はギリシャに次いで世界第2位です。)