タバコの価格が上がれば肥満率も高くなる

オーストラリアではタバコの価格が上がると肥満人口が増えました。タバコがなくなっても依存の対象が他の代替物に変わるだけであり、根本的な解決にはつながりません。

タバコの価格と肥満人口は比例する

国によってタバコの喫煙率や規制が違うので一概には言えませんが、OECD加盟国の中でタバコの価格が最も高いオーストラリアでは、OECD加盟国の中で肥満率が最も高くなっています。

幕内秀夫氏の著書「ドラッグ食:あなたを蝕む食依存と快楽」によれば、オーストラリア政府が厳しい禁煙対策を行った結果、オーストラリア人の肥満率が高くなったと幕内氏は指摘しています。

 オーストラリアは世界でもトップクラスの肥満大国になり、その対策で頭を悩ませている。調べると、国をあげて、かなり厳しい禁煙対策をしてきている。日本でもっともポピュラーなタバコは、二〇本入りでおおよそ二五〇~四五〇円くらいだ。ところがオーストラリアでは、一二〇〇円~一五〇〇円もする。(中略)当然、喫煙場所に対しても厳しい規制が実施されている。

(出典:幕内秀夫氏の著書「ドラッグ食:あなたを蝕む食依存と快楽」)

依存の対象が他の代替物に変わるだけ

幕内氏が著書で指摘していますが、タバコの価格が上がっても、依存の対象が他の代替物に変わるだけです。例えば代替物がお酒やお菓子の場合、肥満率も上昇します。

ただし、無事にタバコをやめた人はその後どうなったか?
 『チョコレートからヘロインまで』(第三書館)の著者、アリゾナ医科大学のアンドルー・ワイルは次のように書いている。

何に対するものにせよ、依存状態を解くのはやさしいことではない。たいていの場合、ただある依存を別のものへの依存に代えるだけにすぎず、それでより多くの自由を獲得できるわけではない。

(出典:幕内秀夫氏の著書「ドラッグ食:あなたを蝕む食依存と快楽」)

同様の理論はデイミアン・トンプソン氏の著書『依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実』でも紹介されていますが、トンプソン氏によれば、依存は浮気をするものであり、1つの依存を克服してもすぐに他の対象物に依存してしまうのです。

結局、依存の根本的な原因を取り除かずにタバコをやめても、お酒やギャンブルといった他の依存物が繁栄していくだけです。