図書館がなくならない本当の理由

財政難により、学校や公民館、体育館、病院といった様々な公共施設が閉鎖されていく一方で、図書館は閉鎖されず、むしろ増えています(下図)。その理由は、「著作権が無条件で侵害できる」という大きな特権があるからです。

図書館の推移
日本著者販促センター「図書館の歴史と現状 (公共図書館の推移)」

歴史上、最も著作権を侵害してきた団体

歴史上、最も著作権を侵害してきた団体は図書館です。

図書館では、出版社や作家が書籍の所蔵や公開を拒否しても、それを無視して、書籍を閲覧することや借りることができます。

本来なら、図書館の行為は著作権侵害や営業妨害に該当しますが、図書館法により保護されてきました。これは日本のみならず世界的にも同じ傾向があります。

一方、例えば、私が市営の図書館と全く同じサービスを行う、民間の施設を無償で運営した場合、出版社から著作権侵害や営業妨害で訴えられ、営業できなくなります。

まさに宝の倉庫

「図書館のせいで本が売れない」と嘆く作家がいますが、歴史を見れば、図書館が普及することで、本を読む人口が増え、本を読む文化が栄えてきました。

図書館を利用しない人にとってみれば、税金のムダ使いに見えるかもしれませんが、図書館の利用者にしてみれば、何の制限もなく情報が得られる宝の倉庫です。

北海道の夕張市が財政破綻した際、図書館を廃止して、代わりに図書室を作って事業を継続させました。同様に、他の市町村が財政難になっても、寄付やボランティアといった何らかの形で図書館は存続されるでしょう。