ロシアに学ぶ、ハイパーインフレ後の年金受給者の生活
ロシアなど、ハイパーインフレが起こった他の国の実例をもとに、日本のハイパーインフレ後の年金受給者の生活を紹介します。
物価が上がっても受給額は同じ
政府債務残高で予想!日本の財政破綻はもうすぐで紹介しましたが、日本は政府債務が非常に多く、もうすぐ日本でハイパーインフレが起こる可能性があります。
ハイパーインフレになれば、物価は1年あたり2~100倍の速度で上がっていきます。かつてハイパーインフレが起きたのはブラジルやアルゼンチン、ロシアです。
イチからまなべる株の学校「ブラジルのハイパーインフレ。インデクセーション制度の罠」によれば、ブラジルでは1989年に年率1973パーセントの物価上昇率(約20倍の物価上昇)を記録しています。
86年 | 87年 | 88年 | 89年 | |
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実質経済成長率 | 7.54% | 3.60% | 0.26% | 3.20% |
物価上昇率 | 79.67% | 363.41% | 980.21% | 1,972.91% |
貿易収支 | 83 | 112 | 191 | 161 |
利子払い | 100 | - | - | - |
外貨準備 | 67 | 44 | 54 | - |
財政赤字 | - | - | 4.3% | 6.9% |
債務残高 | - | - | 1,201 | 1,113 |
失業率 | 3.60% | 3.70% | 3.85% | 3.35% |
(出典:イチからまなべる株の学校「ブラジルのハイパーインフレ。インデクセーション制度の罠」)
一般の労働者であれば、物価の上昇に少し遅れて賃金も上がっていきます。
しかし、物価が上がっても年金の受給額は上がりません。
例えば今まで20万円支給されていた年金も、ハイパーインフレで物価が10倍に上昇すれば、年金は実質2万円の価値しかありません。
10キロ先も歩いて移動する
財政破綻に詳しい、経営コンサルタントの大前研一氏によると、かつてロシアでハイパーインフレになった時、年金受給者は悲惨な目にあいました。
例えば移動手段について言えば、ロシアの高齢者は10キロ先であっても歩いて移動していたのです。
同じ10キロでも、(ハイパーインフレに比例して給料が上がる)若者がバスやタクシーを利用して歩いていたのと大きな違いです。
高齢になると足腰の筋肉が弱くなりますが、高齢者は無理をしてでも長距離を歩かなければならないようです。
食料は自給自足
先ほどの大前氏によると、スーパーでは野菜が高くて買えないので、ロシアの高齢者は自宅の庭で家庭菜園を行い食料を自給自足しました。
ギリシャでも、財政危機の時は、田舎に移住して自給自足の生活をする高齢者が増えました。
よって日本でも、高齢者のみならず田舎で自給自足の生活をする人が増えるでしょう。
土地・車・ブランド品、売れるものは何でも売る
節約にも限界があります。かと言って、年金生活者が新しく職を手に入れるのはほとんど不可能でしょう。そこで、所有物を売るしかありません。
物価が安定するまでは、土地・車・ブランド品などのインフレに比例して価値が上がるものは何でも売って生活費を稼ぐことになるでしょう。